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執筆者の写真日野晃

それじゃないんやけどな

古希のコンサートをやろうと決めてから、ドラムの動画をよく見る。 教則ビデオも沢山ある。 若い人や子供達が驚く程上手に叩く。 これには、ほんとにほんとに驚く。

4年前、懇意にして頂いていたジャズ・ピアノの重鎮だった田中武久さんが亡くなった。 その時のお通夜が、田中さんが経営するジャズ・バーで行われ、私も叩いた。 その時に、若いドラマーも叩いていた。 それを、田中さんに可愛がってもらっていた東原力哉君と見ていて「こいつ、ほんまに上手やな」と言い合ったものだ。 「でもなぁ、それじゃないんやけどな」とも語りあったものだ。

確かに上手なのだが、何かが違う。 言いだせば色々あるが、プロに対しては「それじゃない」の一語だ。

もちろん、動画で楽しく叩いている子供達はそれで良いと思う。 何よりも「楽しい」のだから。 外国の子供で、楽しさが溢れ出ている動画もあった。 ここまで楽しさが溢れていたら、こちらの顔まで緩んでしまう。 まず、これが無い。 楽しい筈なのだが、それが溢れ出ていない。 国民性としてシャイと言えばそれまでだが、溢れ出るものがない、いや、見えないのは見ている側からすれば楽しくない。

当然、それはこちらの勝手だから、演奏する当人にとってはどうでもよい事だ。 しかし、人の前で演奏する、その演奏でお金を貰う、ということになると、これは駄目だ。 自分の勝手を押し付けるな、だ。

その辺りがお金を貰う、ということへの価値感や自意識の違いがあるように思う。 私も力哉も古い世代だと言うとそうだ。 だから、その若いドラマーに助言も無い。 「もっといけよ」くらいだ。

そんなことも含めた「古希」ドラムソロコンサートだ。

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